運転手はつづけて今日遅れた理由を話し出した。
「自分は今日はスマホを忘れちゃって、
プラカノンまでとりにかえって、スワンナプームかと思って
行ったら違った」だの、
「あわてて戻ってきたが、
途中で渋滞があって時間がかかった」だの、
「そのせいで2時間無駄にスタンバイしてた」
だの言っている。
ちょっと待て。おまえ余分に移動してスタンバイしたぶん
私に負担させようとしてねーか?
イライラしてきて、英語で
「そんなこと私に関係ないでしょう
その話するのやめてくれる?
スワンナプームに行ったのは
気の毒だけどあなたが間違えただけだし、
それ私が負担する理由ないよね?」っていったら
急にヘラヘラして
「え~と、わからない」とタイ語で言い、英語に戻って
「ただ、間違えたって話をしただけだよ」だって。
ハア?おまえさっき2時間スタンバイしてるから
メーターは使えないって自分で言ったんだろうが!
ラマ4世道から高速にのって、合流地点付近で
ときどきちょっと混むところもあったが
そんなに長く詰まるところはなかった。
ドンムアンに続く2つめの高速に乗って、
スムーズに走り出して程なく
「なんかやけに左に寄るね」とおばあちゃんが言った。
みんなが走り方に注意しはじめると
そのうちすーい、すーいと左右に蛇行しはじめた。
なんかおかしくない?!
私は助手席にいたので運転手の顔みたら、目が半分になっていた。
いや、もともと片目のまぶた少し下がり気味な顔のひとだけど、
こりゃ下がりすぎだわ。
びっくりして腕をつかんだら、こんどはでっかい目ひんむいて
直角にこっちむいて、正面全然見ないまま走ってる。
いやちょっと待て。目をさましてもらっても
正面向いてなかったら意味ないじゃんか!
私が何か言ってあげないと正面むく気がないんだとわかって
「あんた大丈夫?Are you OK?」ってきいたら
やっと正面向いて、Yesと答えた。
いや絶対大丈夫じゃない。
全員に「飴!」と号令をかけた。
たろさんは飴いっぱい持ってるはずだけど、
リュックの底のほうにあるのか見つからず、
おばあちゃんがべとべとになったコーヒー飴出してくれたので
包装をむいてわたした。
運転手はそれを口に含むと
一応目をあいて運転をはじめた。
ハラハラしたが、幸い残りの道はさほど長くはなく、
ほどなくドンムアンについた。
その間もしばしばあくびをかみ殺してる気配があっておそろしかった。
荷物を下ろしたあと、コーヒー飴2コを添えて620バーツを払うと
運転手はニヤッと笑った。
翌日Grabからの領収書が来て、料金は570バーツぐらいだった。
奴め、やっぱりボッてたな。
最初からメーターが120だったから、さらに100バーツぐらい
ぼってたかもしれん。
5段階中★★の評価をして、
「高速で寝そうになってたし、ぼられた」とレビューしといた。
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