スーパーの前で自転車を出そうとしていたら
60ぐらいの、黒ずくめのオシャレした
ころっとしたおばちゃんがやってきて
「すみません、この通りに来たつもりなんだけど
この地図でいまどこかわかりますか?」と聞かれた。
地図を見ると東海道周辺散歩のイラスト地図だが
なんか知ってる目印が何もない
いまいるところは多摩川のすぐそばなので
多摩川どこかなと目を走らせると
目黒川と書いてあった。
多摩川がなければこのへんじゃないな・・・
電車の路線も確認したら
青物横丁とか北品川とか書いてある。
私がエ~トと難しい顔をしているので
「わかりませんか?」ときくおばちゃん。
「これ川崎の地図じゃありませんね
青物横丁とか北品川だと東京都内です」というと
「いえ、これこのへんの地図なんです。
いま駅からこの地図見ながら来たから
このへんかと思うんですけど」
と地図を指さすおばちゃん
「このへんだったら多摩川がすぐそこですから
多摩川が書いてないとおかしいんですけど」
というと全然聞かずにまた
「ちょっとわからないですか?」
と言い始めた。
いや、私ははっきりわかってる
これは絶対このへんじゃない
しかしおばちゃんが
不案内なヤツにきいちゃってしまったな、という表情をうかべながら
「わからない?わからない?」と連呼しはじめたので
「ウーン、わからないですね、ごめんなさい」というと
ちょっとほっとしたように
「あそうですか?ごめんなさい」と言い
おじぎしながら離れていった
断じて言うがあの地図には川崎駅も
京急川崎駅も書いてなかった。
あのおばちゃんはおそらく京急川崎駅から
歩いてきたのだろうが
いったいなに駅から歩いてきたつもりなのだろう
どこが目的地だか知らないが
あの地図じゃあ、歩いたところを正確にたどらないと
帰ることも困難だろう
おばちゃん結局どこまでたどり着き
いつ間違いに気づいただろうか
でもあれぐらい確信もった迷子も珍しい
私は「いやこれ絶対違います、このへんじゃありません」
って言えなかったよ
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